「仕事を辞めたいけど、自分では言い出せない」とスムーズに退職できる方法を調べていると必ず目にする『退職代行』。退職代行とは、退職に関わる面倒なことを全てやってもらえる便利なサービスで、たくさんの退職代行を請け負う業者があります。
実は、退職代行はこのような業者だけでなく、弁護士にお願いできることをご存じですか?例えば「未払いの賃金がある」「パワハラが原因で退職したい」など退職において深刻な悩みがある方は、弁護士に退職代行をお願いした方が良い場合があります。
しかし、弁護士にお願いするとなると敷居が高く、費用などの心配や疑問が浮かんでくるでしょう。そこで当記事では『弁護士に退職代行をお願いするメリットやデメリット』『退職代行を依頼する弁護士を選ぶ3つのポイント』『弁護士に退職代行をお願いするときに気をつけること』を解説します。ぜひ最後までご覧ください。
仕事を辞めたい時に弁護士に退職代行をお願いするメリット・デメリット
退職は自分で上司に伝えるのが一般的。退職代行に興味があっても「大袈裟かな」と利用に躊躇する方が多いと思います。
それが弁護士となれば、なおさらでしょう。そこで、弁護士による退職代行について理解を深めるために、『弁護士にお願いするメリットやデメリット』『弁護士にお願いした方が良いケース』をご紹介します。
弁護士に退職代行をお願いする3つのメリット
弁護士に退職代行をお願いすると以下のようなメリットがあります。
- 未払い賃金や有給の取得などの交渉をしてもらえる
- 退職に関する法的トラブルにも対応できる
- 弁護士にお願いする安心感がある
それぞれ詳しくみていきましょう。
未払い賃金や有給の取得などの交渉がしてもらえる
弁護士に退職代行をお願いすると、未払い賃金などに関する交渉を代わりにしてもらえるメリットがあります。未払い賃金などを自分で会社と交渉することは、非常に難しくあなたの要求が通らない可能性も。
しかし、弁護士にお願いすれば、法律に則って請求し、交渉することができます。退職代行業者では、弁護士法違反になる可能性があるため、このような交渉をすることはできません。
つまり、退職代行業者は退職の意思を代わりに会社に提示することしかできないということ。退職時に何らかの請求や交渉をしたい場合、弁護士に頼むと安心です。
退職に関する法的トラブルにも対応できる
稀なケースですが、退職時に会社があなたに対して損害賠償請求を行う場合もあります。そんな時に、頼れるのが弁護士。
損害賠償請求と聞くと、「訴訟されるの?」「裁判にかけられるの」と一般人の私たちは知識がなく恐怖を感じますが、弁護士は法律の専門家ですので、安心して対処してもらえます。
弁護士にお願いする安心感がある
弁護士にお願いする安心感は大きなメリットです。退職代行を考えている方は、「辞めさせてもらえない」「うつで会社に行けない」など何らかの問題を抱えている方がほとんど。
弁護士にお願いすると、自分で退職を切り出す必要がなく、万が一揉めても安心と心理的ハードルが下がります。これは、利用者にとって1番のメリットといって良いでしょう。
実際に弁護士による退職代行を使われた人事の方に話を聞くと、「退職代行を使われたら、どうしようもない」といいます。会社との間に問題がある方は、最もスムーズに辞めることができるでしょう。
弁護士に退職代行をお願いするデメリットは『費用が高い』の1つだけ
弁護士に退職代行をお願いするデメリットは『費用が高い』の1つだけです。退職代行業者にお願いすると約3万円から5万円が相場。一方弁護士の場合は、相場は約5万円から10万円と退職代行業者よりも数万円高くなる傾向があります。
また、未払い賃金の請求やハラスメントに対する慰謝料の請求を行った場合、成功報酬が別途かかることが多いです。費用に関しては、弁護士選びに深く関わるので、次章で詳しく説明します。
弁護士に退職代行をお願いした方が良い3つのケース
費用のことを考えると、会社と揉める可能性がない場合は、比較的安い退職代行業者を利用した方が良いかもしれません。しかし、以下の3つのケースに当てはまる方は弁護士に依頼することを検討しましょう。
- うつ病や病気などで会社とのやりとりができない
- 残業代など未払い賃金の交渉をしたい
- 辞める原因がハラスメントや犯罪行為によるもので落とし前をつけたい
上記の項目のように、何らかの交渉や請求を会社に行いたい場合は弁護士に依頼することをおすすめします。例えば、パワハラや長時間労働が原因でうつ病や病気を発症した場合、労災申請も可能です。
しかし、労災の申請は複雑なので個人では難しく、労災が認められない場合もあります。また、退職代行業者では業務の範囲外。このように、個人や退職代行だけではカバーできない問題がある方は、弁護士に依頼すると良いでしょう。
退職代行を依頼する弁護士を選ぶ3つのポイント
弁護士に退職代行を依頼する場合、どのように弁護士を選べば良いのでしょうか。日常生活の中で弁護士と関わることが少ないため、弁護士選びはどうして良いかわからない方が多いと思います。
そこで、依頼する弁護士を選ぶ3つのポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
ポイント①労働問題や退職代行を得意とする弁護士か確認する
弁護士が扱う分野は刑事事件や離婚問題など様々あり、法律事務所や弁護士によって得意不得意があることをご存知ですか?
弁護士を選ぶときは『労働問題』『解雇やパワハラ、セクハラに関する問題』『未払い賃金の請求』などを得意とするまたは、力を入れている弁護士を選びましょう。
弁護士のホームページを見ると、労働トラブルの解決実績や経験年数を書いてあることがあります。このような情報を確認して労働問題に強そうな弁護士を選ぶことがポイントです。
ポイント②かかる費用や料金システムなど金額を把握する
一般的に弁護士を依頼する場合の費用は『着手金+成功報酬+実費』が基本となります。例えば、退職代行の場合、着手金は0円から10万円前後と弁護士事務所によってさまざま。また中には、相談料がかかるところもあります。
『退職代行 弁護士 費用』と検索すると『〇万円!』と安い金額を目にすることがありますが、退職代行のみの費用で、慰謝料請求等は別途費用が必要になるなど、きちんと確認しなければ「思ったより請求額が高い!」と後で嘆くことになります。料金システムや費用の総額をきちんと把握してから依頼しましょう。
ポイント③必ず実際に会って信頼できる弁護士にお願いする
弁護士選びの最大のポイントはあなたが信頼できるかどうかです。弁護士はあなたの代理人となり、会社とやりとりします。
そのとき、あなたが信頼できる人でなければ安心して任せることができません。人間同士ですから必ず相性が合う合わないがあります。実際に会ってみると「親身に話を聞いてくれるな」だったり「高圧的で嫌だな」と感じることが色々あるでしょう。
実際に会った時の印象を大事にして弁護士を選んでください。相性の良い弁護士を見極めるコツは「この人のアドバイスなら従っても構わない」と感じるかです。弁護士に依頼するとき、まずは相談からが一般的。この相談の時に信頼できる弁護士か判断しましょう。
弁護士に退職代行をお願いして仕事を辞める時に気をつけること
弁護士に退職代行をお願いすると、スムーズに退職の手続きができます。退職代行で辞めたいと思うほどなので、その後会社に行くことなく退職の手続きがしたいというのが本音でしょう。
そこで、弁護士に退職代行をお願いして辞めるときに気をつけておいた方が良い3つのことについてご紹介します。
有給の残日数を事前に確認しておく
1つ目は有給の残日数を事前に確認しておくことです。なぜなら有給の残り日数を把握していなければ、会社側に都合が良いように操作される可能性があるからです。
勤怠管理をしているのは、あくまでも会社で国に提出しているわけではありません。そのため従業員の有給を操作することは1人分くらい、やろうと思えば簡単にできてしまいます。
退職代行を使って辞めたいと思うような、ブラック企業であれば可能性はゼロではありません。そのため、可能であれば退職代行をお願いする前に有給の残り日数を確認しておくと安心です。
退職時の返却物はデスクに入れておく
退職代行をお願いすると、その後会社に行くことがない場合もあります。社員証など会社に返却するものがあれば、弁護士が退職を会社に申し入れる前日にデスクに置いて帰ると完璧です。
もちろん、デスクに置いてある私物は持ち帰っておきましょう。ただし、保険証については、必ず会社に返還しなければいけませんが、有休消化で退職日まで日数がある場合もあるので、退職日に郵送してもOKです。
退職時の返還費用がないか要チェック
会社によりますが、退職時に返還規定が定められている場合もあります。例えば、資格の取得費用を会社が出している場合、「資格取得後〇年以内に退職する場合は、費用を全額返還する」などの契約をしているかもしれません。
また、借り上げ社宅の初期費用などにも規定がある可能性があります。雇用契約書や就業規定などで退職時の返還費用がないかチェックしておきましょう。
まとめ
当記事では、弁護士による退職代行を検討している方に向けて、『弁護士に退職代行をお願いするメリット・デメリット』や『弁護士を選ぶポイント』『弁護士の退職代行を使うときに気をつけること』について解説しました。簡単にまとめると以下のようになります。
- 弁護士の退職代行のメリットは『未払い賃金などの交渉ができる』『万が一の法的トラブルにも対応できる』『弁護士にお願いする安心感』
- デメリットは『費用が高い』こと
- 弁護士選びのポイントは『労働問題や退職代行が得意な弁護士か』『費用や料金システムを把握すること』『信頼できる弁護士か』の3つ
- 退職代行を利用するときは『有給の残日数の確認』『退職時の返却物を事前に置いて帰る』『返還費用の有無の確認』に気をつけると良い
初めて弁護士に依頼をするときは、敷居が高いイメージがあり不安ですが、初回相談は無料の弁護士事務所もたくさんあります。まずは相談からしてみてはいかがでしょうか。