医療現場を支える重要な役割を持つ医療機器の営業職。実は今、未経験でも転職しやすいうえに、医療系で安定していることから、医療機器営業が密かな人気を得ています。しかし医療系と聞くと「専門的な知識が必要?」「未経験でも本当に大丈夫?」など疑問を感じていませんか?
そこで今回は
- 医療機器営業の仕事内容・働き方・給与は?
- 医療機器営業の1日の流れ・やりがい・苦労とは?
- 未経験から医療機器営業に転職する方法
についてご紹介します。医療機器営業に興味がある、転職したいとお考えの方はぜひ最後までご覧ください。
医療機器営業の仕事内容・働き方・給与は?
そもそも医療機器営業がどのような仕事で、どんな働き方をしているかご存じですか?はじめに、医療機器営業の「仕事内容」「働き方」「給与」についてご紹介します。
医療機器営業の仕事内容
医療機器業界はメーカーと複数のメーカーの医療機器を扱う商社(ディーラー)に分けることができます。どちらの営業職も自社で扱う医療機器を医師や看護師に提案し売り込むことが仕事です。
扱う医療機器はMRIなどの大型機器から心臓に埋め込むペースメーカーのような小型機器まで、会社によってさまざま。正しい医療や製品に関する知識が求められます。
また、単に製品を売るだけではなく、操作方法の説明などサポートすることも重要な仕事です。意外と知られていませんが、手術で使う医療機器を扱う場合、使い方のレクチャーのために手術に立ち会うこともあります。
医療機器営業の働き方!休日や残業は?
医療機器メーカーや商社の求人をみると、土日祝休みの週休二日制で年間休日120日となっている会社がほとんどです。また、医師の都合に合わせて夕方や夜遅くに訪問する場合もあるため、残業は1ヶ月あたり平均20時間ほどといわれています。
年に数回、展示会などのイベントで休日出勤になることがありますが、きちんと代休を取れる会社が多いです。扱う製品によっては、交通事故などの急な手術で呼び出しがある場合もありますが、働き方は一般的な営業職と変わりありません。
医療機器営業の給与
医療機器営業の給与についてメーカーと商社で比較してみましょう。
メーカー | 商社 | |
平均年収 | 512万円 | 422万円 |
平均年収で比べると、メーカーの方が高い傾向があります。しかし、営業成績によるインセンティブがあるため、商社の方でも年収800万円を超える方もたくさんいます。
参考:医療機器メーカーの営業とはどんな職種?仕事内容 – DODA
参考:【96の業種別】平均年収ランキング 最新版 |転職ならdoda …
医療機器営業の1日の流れ・やりがい・苦労とは?
きついイメージがある営業職。医療機器営業の方は一体どのような1日を過ごしているのでしょうか?今回は医療機器営業の1日の流れを解説しながら、「やりがい」「苦労」についてご紹介します。
医療機器営業の1日の流れ
医療機器メーカーに勤務するAさんと商社に勤務するBさんの1日の流れをご紹介します。
医療機器メーカーで循環器領域の機器を扱うAさんの1日
Aさんの午前中に手術がある場合の1日をみていきましょう。
時間 | 仕事内容 | 補足 |
8:00 | 病院へ直行 | |
8:30 | 手術の立ち会い | 医療機器の使い方のアドバイスや使い勝手をチェックします |
13:00 | 昼食 | |
14:00 | 会社に戻り、補充品を受け取る | 午後から向かう病院の補充品を用意します |
15:00 | 違う病院にて物品の補充 | 消耗品などの物品を納品します |
16:00 | 会社に戻る | 溜まっていた事務作業をします |
18:00 | 他の営業のヘルプ | 今日は予定がなかったので、他の営業のヘルプで納品に向かいます |
19:00 | 退社 | 今日は、あまり予定がなかったので、早めに退社します。たまに夜に医師に営業の提案がある日もあります |
内視鏡を扱う商社に勤めるBさんの1日
時間 | 仕事内容 | 補足 |
8:30 | 出社・朝礼 | 朝礼で情報の共有や目標に対する進捗を報告します |
9:00 | 納品物のチェック・スケジュール確認 | 本日納品予定の商品やススケジュールを確認します |
10:00 | 提案書と見積もりの作成 | 午後からの営業の提案資料を作成します |
11:00 | 商品の発注 | 電話で注文が入ったので、発注します |
12:00 | 移動と昼食 | 移動がてら昼食を取ります |
13:00 | 顧客訪問・提案 | 定期的に病院に訪問します |
15:00 | 移動 | |
16:00 | 顧客訪問・納品・提案 | |
18:00 | 商品発注・報告書作成 | 帰社し、訪問先で受けた注文の発注作業と営業報告書などの事務作業をします |
19:30 | 退社 | 今日すべき作業が終われば退社します |
医療機器営業のやりがいは人の健康や幸せに関わること
医療機器営業のやりがいは、人の健康や幸せに関わり、感謝されることです。直接患者さんと直接会うことはありませんが、取り扱う医療機器を使い病気や怪我が回復することを思うと、人の幸せに貢献している充実感を得られます。ここで実際の営業の方の声をご紹介しましょう。
縫合機を扱う医療機器メーカーの営業・Rさん・女性
私はがんの摘出後に、腸と腸をつなぐ縫合器を担当しています。以前大腸がんの方の手術に立ち会った際、もし私の使い方や製品の説明が不十分だったら、術後に障害が残ったり、最悪の場合、命を落とす可能性もあるんだと、ふと頭をよぎりました。そのとき「命に関わる重要な役割を果たしているんだ」と実感。その手術が成功し、無事に退院したと聞いた時は、例えようのない喜びを感じました。
医療機器営業の苦労は専門知識の勉強が欠かせないこと
医療機器営業の苦労は、専門知識の勉強が欠かせないことです。医療に関する知識や、製品知識も医師や看護師の質問になんでも答えられるような、高度なものが求められます。
商談相手が医師のため、相当な知識がなければ、信用してもらえませんし、命に関わる医療では、「わかりません」では済まされない場合も多いです。医療は日々進化しており、新しい医療機器もどんどん開発されます。
営業力だけでなく専門知識も求められる営業は、常に知識をアップデートする勉強が欠かせない点が大変なところです。
未経験から医療機器営業に転職する方法
ここからは未経験から医療機器営業に転職するために「向いている人の特徴」「必要な資格・スキル」「転職テクニック」を解説します。ぜひ転職を検討中の方は参考にしてみてくださいね。
医療機器営業に向いている人の特徴3選
医療機器営業に向いている人には以下の3つの特徴があります。
- 元気で体力がある人
- 人とコミュニケーションを取るのが好きな人
- 人のために役に立ちたいと思える人
それぞれ詳しくみていきましょう。
元気で体力がある人
どの職種の営業職にも共通しますが、営業職は移動が多く、いろいろな場所で様々な人と話すため体力勝負です。医療機器の営業も同じく、元気で体力がある人が向いています。明るくバイタリティーのある方におすすめです。
人とコミュニケーションを取るのが好きな人
医療機器の営業職は、人とコミュニケーションを取るのが好きな人に向いている傾向があります。医療機器の営業では、どの医療機器がどのような役割を果たすか正確に伝えなければいけません。
また、医師や看護師とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築かなくては、医療機器を売ることができません。人と会うことや、会話のキャッチボールが好きな人は医療機器営業に向いています。
人のために役立ちたいと思える人
医療機器営業は、医療機器を通じて人の役に立つ、貢献度の高い仕事です。病院には怪我をした方や病気と闘う方など様々な事情を抱えた人が集まります。
体の不調を抱えた人を助けたいと思って行動できる人こそが医療機器営業にうってつけ。命に関わる仕事は責任も大きいですが、その分やりがいも大きい仕事です。
医療機器営業になるために必要な資格・スキル
医療機器営業に転職するためには、運転免許が必須です。他には、以下のようなスキルが求められます。
コミュニケーション力
やはり営業職である以上、コミュニケーション力が求められます。商談相手である医師に気に入られ、信頼されなければ、どんなに良い医療機器を扱っていても、売ることはできません。
したがって、人とのコミュニケーション能力があるか、人の懐に入る力があるかは、採用担当者に見られる大きなポイントです。
柔軟に知識を吸収する力
未経験の場合、営業のやり方やテクニック、また医療に関する知識などたくさん覚えることがあります。もちろん会社も研修を行いサポートしますが、本人の素直にアドバイスを吸収できる能力や知識を勉強する姿勢が求められます。
一見、アドバイスを素直に聞くことや勉強する姿勢は「スキル」と思われないように感じます。しかし、これは向上心と言い換えることもでき、実は、誰でも持っているものではなく、立派なスキルです。
特に、未経験の方には柔軟に知識を吸収するスキルを求める企業が多いので意識しておきましょう。
医療機器営業に転職するためのテクニック
最後に医療機器営業に転職するための「求人の見つけ方」「自己PR・志望動機」「面接対策」のテクニックをご紹介します。
医療機器営業の求人の見つけ方
医療機器営業の求人は、転職サイトでも多くみられますが、「業界未経験OK」なのか「営業未経験OK」なのかに注意しましょう。
「未経験歓迎」と打ち出している求人の中には「医療業界未経験OKだけど営業経験のある人」を求めている場合もあります。営業経験のない方がそのような求人に応募すると不利になるので、未経験OKの範囲は必ずチェックしてください。
医療機器営業になるための自己PR・志望動機
医療機器営業の志望動機では「わたしは相手の話をじっくり聞いて、信頼関係を構築することができる」ことをしっかりアピールするのがポイントです。
医療機器営業は「売って何ぼ」という傾向があります。しかし、他の営業職と違うところは1医療機関あたりの売り上げが大きいため、目先の売り上げを追いかけること以上に、その医療機関から嫌われない、気に入られることが重要です。
前職の経験や学生時代の具体的なエピソードで信頼関係を構築できる力をアピールしましょう。
医療機器営業に転職するための面接対策
医療機器営業に転職するための面接では下記のポイントを意識しましょう。
- 清潔感
- 質問には結論から述べる
- マニュアル的な回答は御法度
それぞれ簡単に説明します。
清潔感
医療業界は清潔感が重要といわれています。髪型やスーツの着こなしなど清潔感を心がけましょう。意外と、面接官は靴を見ています。靴が汚れていたり、擦り減っていると印象が悪いので特に気をつけてください。
質問には結論から述べる
面接官は医師に話す姿をイメージしながら面接をしています。医師は前置きが長く、何が言いたいのかわからない話し方を嫌うため、質問には必ず結論から述べる癖をつけましょう。
とはいえ質問に結論だけを答えるのではなく、まずは結論を述べ、その後に根拠や理由を具体的に付け加えると良いでしょう。
マニュアル的な回答は御法度
面接官はマニュアル的な答えを嫌います。なぜなら、質問に対しマニュアル的な回答をされると「とってつけた感じがする」「本当に思ってないな」と感じるからです。
マニュアルにあるような言葉ではなく、自分の言葉で医療機器営業への熱意をアピールできるように練習しましょう。「この会社を志望する理由」や「前職の転職理由」などの想定される質問は、回答を事前に考え練習すると良いです。
面接に自信がない方は、転職エージェントの面接サポートを利用し、慣れておくことをお勧めします。
まとめ
当記事では、医療機器営業について「仕事内容」「やりがい」「未経験から転職する方法」などについてご紹介しました。医療機器営業は安定している業界でもあり、未経験の方も多く活躍している職種です。興味がある方は、当記事を参考にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。