精神的な障がいを持つ方や家族にとって強い味方となる精神保健福祉士。福祉に興味がある方なら、一度は聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、「社会福祉士と何が違うの?」「どうしてネットでやめた方がいいっていわれるの?」など、精神保健福祉士に関して疑問を感じていませんか?
そこで今回は、
- 精神保健福祉士の仕事内容・働き方・給与は?
- 精神保健福祉士のやりがい・苦労・向いている人の特徴とは?
- 未経験から精神保健福祉士を目指す方法
についてご紹介します。
精神保健福祉士に興味がある、転職したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
精神保健福祉士の仕事内容・働き方・給与は?
そもそも精神保健福祉士がどのような仕事で、どんな働き方をしているのかご存知ですか?はじめに、精神保健福祉士の「仕事内容」「働き方」「給与」についてご紹介します。
精神保健福祉士の仕事内容
精神保健福祉士は、精神に障がいや疾患を持つ方とその家族からの相談を受け、助言や支援をする仕事です。
具体的には
- 医療費や生活費などの手配紹介
- 公的支援制度の紹介
- 社会復帰ための日常訓練
- 就労支援
- 就職してからの職場への定着支援
などの支援をしています。勤務先は、病院の精神科や心療内科のクリニックなどの医療機関や障がい者福祉施設が多いです。また、地方公務員として、保健所や精神保険福祉センター、社会福祉事務所などで働く精神保健福祉士の方もいます。
精神保健福祉士の働き方!残業や休日は?
続いて精神保健福祉士の勤務形態・休日・残業など、働き方についてご紹介します。
勤務形態
精神保健福祉士の勤務時間は、9:00~18:00前後に設定されている職場がほとんどです。
例えば、精神病院などの医療施設や障がい者福祉施設では、患者や施設利用者からの相談対応を日中に行うのが基本のため、夜勤はありません。ただし、グループホーム24時間体制の施設では早番や夜勤など交代制の勤務になります。
休日
休日は職場によって異なります。例えば、入院患者がいる精神病院では、外来を受け付けない土日祝でも入院患者や家族の相談に応じる必要があるためシフト制が多いです。一方、外来患者のみの心療内科のクリニックでは、木曜と日曜など勤務先の休診日に合わせた休日になります。
そのほか、精神福祉センターなどの行政機関で働く場合は、公務員と準じた勤務になるので、土日休みの完全週休二日制です。職場によって、休日の違いがあるので、自分の生活スタイルに合わせた勤務先を選びましょう。
残業
精神保健福祉士は、勤務先によって多少の差はあるものの、残業の少ない職業です。特に、精神保健福祉センターなどの行政機関の場合は、施設の営業時間が決まっているため、事務処理さえスムーズに終えれば、ほぼ毎日定時で帰宅することも可能。
また、病院に勤務する場合でも、医師や看護師と違い緊急対応が発生することは少ないため、急な残業になることは少ないです。しかし、施設規模に対してスタッフ数が少ないと、人手不足から一人あたりの仕事量が多くなり、残業しないと仕事がまわらないというケースもあります。
精神保健福祉士の給与
精神保健福祉士の給与についてみていきましょう。勤務先別の平均年収をまとめた表はこちらです。
障がい者福祉関係 | 386万円 |
高齢者福祉関係 | 394万円 |
地域福祉関係 | 431万円 |
医療機関 | 396万円 |
行政機関 | 485万円 |
参考:平均給与 – 国税庁
障がい者福祉関係と医療機関では、約50万円の差があるように、勤務先によって大きく年収が違います。また、行政機関は地方公務員のため、勤務年数に応じて昇給するなど安定して働くことが可能です。
精神保健福祉士のやりがい・苦労・向いている人の特徴とは?
心に障がいや疾患がある方と常に向き合う精神保健福祉。一体どんなやりがいや苦労があるのでしょうか?ここからは、精神保健福祉士の「やりがい」「苦労」「向いている人の特徴」についてご紹介します。
精神保健福祉士のやりがい
精神保健福祉士のやりがいは、心に病を抱えた方が、前向きに生活していく過程をサポートできることです。
精神障がいや疾患がある方は、人に心を開けず、信頼関係を築くことが簡単にできないこともあります。努力を重ねて信頼関係を築くことで、相談者さんと一緒に、少しずつ前進できるのは、この仕事ならでは。
心に病を持った方が回復するまでには、長い時間がかかることが多いのですが、サポートを通じて、目標に少しずつでも近づいているのがわかると喜びも格別です。
例えば「働きたい」という目標に向かっている方が、「人と話せるようになった」「アルバイトをするようになった」という小さなステップをクリアするたびにやりがいを感じます。
精神疾患によって社会復帰をあきらめていた方が、サポートをきっかけに前向きに生活できるようになると、まさに精神保健福祉士になって良かったと思える瞬間です。
精神保健福祉士の苦労
精神保健福祉士の苦労は、日によって状態が変わる心の複雑さと向き合い続けることです。人の心はきわめて繊細で複雑。たとえ同じ精神障がいを抱えている方であっても、その背景にある原因や理由は、人それぞれ異なります。つまり、対応も適切なサポートも、タイミングも全て、正解がありません。
例えば、相談者が昨日は明るくて調子がよかったのに、次の日にはふさぎこんでろくに口も聞いてくれないといったように、理由もわからないまま相談者の状態が変化するのも日常茶飯事です。
さらに、一度は状態が良くなり、社会復帰ができていた方が、たいして間を空けることもなく病気を再発させ、むしろ悪化することもあります。苦しむ相談者を見て、やるせなさや無力感を感じる場合も。
一筋縄ではいかない複雑な心と根気強く付き合う、精神保健福祉士は、困難さと共に、大きなストレスがかかります。
精神保健福祉士に向いている特徴
精神保健福祉士に向いているのは「粘り強い人」と「客観的な判断ができる人」です。それぞれ詳しくみていきましょう。
粘り強い人
忍耐強い人や粘り強い方は精神保健福祉士に向いています。精神保健福祉士の苦労でも触れたように、心に障がいや病を抱えた方の支援には長い時間が必要です。少し状態が良くなったと思えば、また元に戻ってしまうこともあります。したがって、「最後まであきらめない」粘り強さや忍耐力が向いている人の特徴です。
客観的な判断ができる人
精神保健福祉士には、客観的な判断が必要です。相談業務の難しいところですが、感情移入しすぎないことがポイント。困っているからといって、何でもかんでもサポートしてしまうと、相談者が自立することができません。「サポートしたい」という熱い気持ちはもちろん大事ですが、本人のためになることを冷静に判断するバランス感覚が必須。
感情移入しすぎず、相談者や家族の人に意見を聞き、本当にベストな方法を見極める客観性を持てる人に向いています。
未経験から精神保健福祉士を目指す方法
ここからは未経験から精神保健福祉士を目指すために「必要な資格・役立つスキル」「自己PRポイント」「面接でよく質問される内容」を解説します。ぜひ転職を検討中の方は参考にしてみてくださいね。
精神保健福祉士に必要な資格・役立つスキル
精神保健福祉士になるには、国家試験に合格しなければいけません。受験資格は、学歴や実務経験によって条件が変わります。
例えば、未経験で福祉系以外の4年制大学を卒業した方は、1年間の一般養成施設を卒業すれば受験資格が得られます。一方、大卒以外の方は一般養成施設の卒業に加え、実務経験が1年から4年必要です。
働きながら学校に通うのは難しいと思うかもしれませんが、一般養成学校には通信講座や夜間コースで通うことも可能です。実際に働きながら精神保健福祉士試験に合格した方はたくさんいます。
資格取得を目指す方は、自分が受験資格を得るにはどうすれば良いか調べてみましょう。
精神保健福祉士になるための自己PRポイント
精神保健福祉士になるための志望動機や自己PRでアピールしたいポイントは「どうして精神障がい者の支援に興味を持ったのか」や「なぜ精神保健福祉士になりたいのか」のきっかけや理由です。
精神保健福祉士は、「心に問題を抱える方の支援」というはっきりとした業務内容だからこそ、どうしてこの仕事に就きたいかの思いを重視する傾向があります。
精神保健福祉士になりたい方は、実際に精神障がいや疾患を抱えた方に関わった経験を持つ方が多いでしょう。実体験のエピソードでもいいですし、自分の性格から適性があることをアピールしても構いません。
とにかく「精神保健福祉士の仕事がしたい」という熱意を伝えましょう。
精神保健福祉士の面接でよく質問される内容
面接の対策は、想定される質問に対して回答する練習をしておくことがいちばん!
本番当日に緊張してうまく話せなくなっても焦らないように、繰り返し練習しておきましょう。最後に精神保健福祉士の面接でよく質問される内容をご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
- どんな精神保健福祉士を目指しているか
- 精神保健福祉士として何が1番大切だと思いますか?
- 患者さんが自分の気持ちを言葉にできない時どうしますか?
〇〇な時どうしますか?系の質問では、精神保健福祉士のスキルや感情移入しすぎないかをみられます。資格取得時に得た知識などを使ってスキルがあることを証明しましょう。また、面接では、話し方や聞く姿勢で相談業務に適性があるか判断されます。ハキハキした話し方や、最後まで相手の話を聞く姿勢を意識してください。
まとめ
当記事では、精神保健福祉士の「仕事内容」「やりがい」「未経験からなる方法」などについて解説しました。精神障がいや疾患を抱えた方に寄り添う大変さがあるものの、やりがいも大きい精神保健福祉士。資格取得のハードルは高いですが、国家資格保持者として専門職として働ける大きなメリットがあります。興味がある方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。