障がいや家庭の事情など、さまざまな状況の子どもの成長を見守る児童指導員。子どもに関わる仕事がしたい方や社会貢献がしたい方に人気があります。しかし、「子育て経験がなくても大丈夫?」「精神的に辛いって本当?」など、児童指導員に関して疑問を感じていませんか?
そこで今回は、
- 児童指導員の仕事内容・働き方・給与は?
- 児童指導員のやりがい・苦労・向いている人の特徴とは?
- 未経験から児童指導員を目指す方法
についてご紹介します。
児童指導員に興味がある、転職したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
児童指導員の仕事内容・働き方・給与は?
そもそも児童指導員がどのような仕事で、どんな働き方をしているのかご存知ですか?はじめに、児童指導員の「仕事内容」「働き方」「給与」についてご紹介します。
児童指導員の仕事内容
児童指導員は、障がいやネグレクトなどさまざまな事情で、児童福祉施設に通所または入所する子どもの健全な育成をサポートする仕事です。
例えば、放課後デイサービスや児童発達支援施設では、発達障がいや、知的障がいがある子どもを対象に、将来的な自立や社会生活に参加するための療育を行います。
また、虐待や家庭の事情などで、児童養護施設に入所している子どもに対しては、親代わりとなり生活指導が主な仕事内容です。
児童指導員の働き方!残業や休日は?
続いて児童指導員の勤務形態・休日・残業など、働き方についてご紹介します。
勤務形態
施設の種類や勤務先によってそれぞれ異なります。例えば、放課後デイサービスなどの通所施設では、平日は11時から20時。学校が休みの時は9時から18時までと勤務時間が変動する勤務形態が一般的です。
また、入所型の児童養護施設では、24時間体制のサポートが必要なため、シフト制で早番、遅番、夜勤などの交代制の勤務形態になります。
休日
休日については、勤務先によってさまざまですが、通所型の施設では日曜+平日1日またはシフト制による4週8休で、年間休日は105日の施設が多いです。
また、24時間体制の施設では、交代制でお盆や年末年始関係なく仕事になったり、連休が取りにくい場合もあります。転職するときは、ご自身の生活スタイルや家庭の事情も考えて勤務先を選びましょう。
残業
放課後等デイサービスなど、あらかじめ子どもを預かる時間が決まっている施設については、月の残業時間はかなり少なめです。一方、入所型の児童養護施設では、残業が多い傾向が。
残業になりやすい理由は、子どもを相手に仕事をする関係上、体調不良やけが、事故など、どうしても想定外の事態が発生しやすく、スケジュール通りに仕事が進まないことが考えられます。
児童指導員の給与・年収は?
児童指導員の給与について日本の平均年収と比較してみましょう。
児童指導員 | 日本全体 | |
平均年収 | 323万円 | 461万円 |
参考:平均給与 – 国税庁
児童指導員は、日本の平均年収と比較しても100万円以上差があり、給与が低い傾向があります。児童福祉施設は営利目的の施設ではないため、給与が上がりにくく、「障害や心に傷を抱える子どもの育成する業務の大変さの割に、給料が安い」と不満を持つ方も多いです。
児童指導員のやりがい・苦労・向いている人の特徴とは?
子どもたちの成長を見守り、指導する児童指導員。一体どんなやりがいや苦労があるのでしょうか?ここからは、児童指導員の「やりがい」「苦労」「向いている人の特徴」についてご紹介します。
児童指導員のやりがい
児童指導員のやりがいは、子どもたちの成長をそばで見守れることです。児童指導員は、様々な状況の子どもと接します。1人1人それぞれ個性をもっているので、接し方は1つではありません。
特に、知的障がいがある子どもの場合は急に落ち着きがなくなることや、急に態度や行動が変わるので、成長スピードもまちまちです。しかし、自身の指導やサポートによって、今までできなかったことができるようになったり、集団で過ごせるようになったりとゆっくりでも確実に成長します。
成長する姿を近くで見守ること、一緒に喜べることは、児童指導員ならではのやりがいです。
児童指導員の苦労
児童指導員の苦労は、虐待など心に大きな傷を持っていたり、障がいを抱える子どものケアが難しいこともあることです。
児童養護施設などにいる子どもたちのなかには、精神的に不安定であったり、全く職員に心を開いてくれなかったりすることもあります。反抗的な態度を取られたり、心無い言葉をいわれるなど、子どもたちとの接し方に悩んでしまうことも多いです。
また、発達障がいなどを持つ子どもの療育のケアはそれぞれによって適切なケースがさまざまなため、一人ひとりに合わせた支援の難しさを感じることもあります。心の問題は、簡単には解決できず、長い時間をかけなくてはいけません。
様々な状況の子どもと信頼関係を築き、心や障がいのケアをする難しさは、児童指導員の大変なところです。
児童指導員に向いている特徴
児童指導員に向いている特徴は主に以下の3つが挙げられます。
- 仕事とプライベートを分けられる
- 責任感がある
- 社会貢献に生きがいを感じられる
それぞれみていきましょう。
仕事とプライベートを分けることができる
仕事とプライベートをきっちり分けることができるのは、児童指導員にとって重要です。福祉業界で働きたい方は、優しくて自己犠牲的な考えが強い方が多い傾向があります。自己犠牲が強い方は、常に子どもたちのことを考えたり、心配したりと仕事のことばかり考えてしまいがち。
また、子どもと親の板挟みや、気難しい子どもとの接し方など悩みも多い仕事です。仕事とプライベートを分け、リフレッシュできないと常に悩み続けてしまい、休まる暇がありません。
したがって、オンとオフをうまく切り替え、メンタルを保てる方は、児童指導員に向いています。
責任感がある
責任感があることは、児童指導員に向いている特徴です。児童指導員は、子どもの育成を担うので、もちろん大きな責任が伴います。仕事では、常に自分が子どもの先生や親代わりになっている自覚を持っていなくてはいけません。
したがって、学生時代にリーダーを任せられる機会が多かった方や、前職で責任あるポジションに就いたことがある方は、児童指導員の適性があります。
社会貢献に生きがいを感じる
社会貢献にやりがいや生きがいを感じる方は児童指導員に向いています。児童指導員はあまり年収が良いとはいえません。そのため、お金ではなく、社会貢献することにやりがいや達成感を感じる方でなければ長く続けることは難しいです。
最近は離婚率、貧困世帯の増加などによる家庭環境に問題を抱える子どもや、発達障がいなど生きにくさを感じる子供も多いです。児童指導員は、さまざまな問題を抱える子供のためにある仕事。「社会の役に立ちたい」「困っている人を助けたい」と思う方に適性があります。
未経験から児童指導員を目指す方法
ここからは未経験から児童指導員を目指すために「必要な資格」「自己PRポイント」「面接でよく質問される内容」を解説します。ぜひ転職を検討中の方は参考にしてみてくださいね。
児童指導員に必要な資格
児童指導員として働くには「児童指導員任用資格」が必要です。児童指導員任用資格とは、仕事に就くために必要な資格や学歴、職歴(実務経験)のことで、「児童指導員」という資格があるわけではありません。
以下の条件のいずれかに該当すれば、児童指導員任用資格を得る事ができます。
- 社会福祉士または精神保健福祉士の資格を保有している
- 大学や大学院で社会福祉学・心理学・教育学・社会学のいずれかを修了している
- 幼稚園・小学校・中学校・義務教育校・高等学校・中等教育学校のいずれかの教員免許を保有している
- 児童福祉施設で2年(最終学歴が中卒の場合は3年)以上の実務経験がある
注意してほしいのは、保育士の資格のみでは児童指導員になれないこと。児童指導員と保育士は共通する業務が多いので、保育士から児童指導員に転職を考えている方も多いです。
保育士と幼稚園教諭の免許を持っていれば大丈夫ですが、保育士のみなら、児童福祉施設での実務経験が必要なことを確認しておきましょう。
児童指導員になるための自己PRポイント
児童指導員になるための自己PRポイントは「あなたがどのような志を持って働きたいか」です。よくある「子どもが好き」という理由だけなら、面接官に保育士や幼稚園の先生で良いと思われてしまいます。
子どもが好きなだけでなく、「心や身体に傷や障がいを持つ子どもたちの心のケアをしたい」「成長を助けたい」という強い気持ちが必要です。児童指導員になりたいと思ったきっかけや実体験の中に、あなたの児童指導員に対する志があるはず。きっかけや実体験を整理し、働きたい熱意をアピールしましょう。
児童指導員の面接でよく質問される内容
児童指導員の面接対策では、転職理由など、どの職種でも聞かれる質問以外にも、児童指導員ならではの質問に回答する練習をしておくことが大切です。最後に面接でよく聞かれる質問の例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 児童指導員を目指したきっかけ
- 当施設を志望した理由を教えてください
- これまでに何か成し遂げた経験はありますか
面接でも志望動機と同じように仕事に対する熱意が重要視されます。特に、「当施設を志望した理由」では施設の特徴や取り組みをちゃんと理解しているかを判断されます。事前にきちんと応募する施設を調べ、入社したらやりたいことなど将来のビジョンを伝えると、やる気や熱意をアピールできます。
まとめ
当記事では、児童指導員の「仕事内容」「やりがい」「未経験からなる方法」などについて解説しました。さまざまな状況の子どもの先生となり、親となる児童指導員は、社会貢献ができる魅力的な仕事です。お金では変えられない達成感や喜びは、児童指導員ならでは。興味がある方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。