歩けない人のリハビリをするイメージのある理学療法士。日々の肉体労働で疲労がたまりやすいという声もあります。
しかし、「体力がないとできない?」「作業療法士との違いは?」など、理学療法士に関して疑問を感じていませんか?
そこで今回は、
- 理学療法士の仕事内容・働き方・給与は?
- 理学療法士のやりがい・苦労・向いている人の特徴とは?
- 未経験から理学療法士を目指す方法
についてご紹介します。
理学療法士に興味がある、転職したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
理学療法士の仕事内容・働き方・給与は?
そもそも理学療法士がどのような仕事で、どんな働き方をしているのかご存知ですか?はじめに、理学療法士の「仕事内容」「働き方」「給与」についてご紹介します。
理学療法士の仕事内容
理学療法士の仕事は、事故や病気、高齢で身体が不自由な人に対し「立つ」「歩く」「座る」など、身体機能の回復をサポートすることで、主な業務は3つあります。
- 運動療法:歩行訓練などを行い、関節や筋肉について動きの改善を図る
- 物理療法:温熱や電気、水などの刺激を用いて運動能力の回復、痛みの軽減を図る
- 住宅環境の整備:住宅のバリアフリーについてアドバイスを行う
理学療法士は、人間の身体の構造に精通し、患者さんひとりひとりのリハビリ計画を立てる人体のスペシャリストです。
理学療法士の働き方
続いて、理学療法士の勤務形態・休日・残業など、働き方についてご紹介します。
勤務形態
理学療法士に多いのは日勤で働くケース。朝は8~9時頃から勤務を開始し、夕方17~18時頃に勤務を終了することが多いです。
ただし、病院によっては早番・遅番などを設けて、朝の身支度や夜の入浴について訓練を行うことも。看護師のように夜勤はないことが多く、安定した生活リズムで働けます。
休日
理学療法士は勤務先によって休日が異なります。病院の休診日が休みになるところや、シフト制で平日休みになるところなど、職場によって様々です。シフト制の場合は、長期休暇が取りにくいというデメリットがあります。
残業
理学療法士の残業は少なく、平均月5時間です。特に介護施設の場合、利用者の入れ替わりが少なく、ゆったり働ける傾向にあります。ただし、職場によっては日中に時間がとれず定時後に書類作成を行うために、恒常的に残業が必要なケースもあるので要注意です。
理学療法士の給与・年収は?
理学療法士の平均年収は427万円と、日本の平均年収の467万円よりやや低い水準です。
年収が低い主な原因は、初任給は平均的なものの、その後の昇給幅が少ない傾向にあること。中には、一定の勤続年数で昇給がストップしてしまう職場もあります。
そのほか、1日当たりのリハビリ件数・時間に法律で上限が定められていることも原因のひとつ。ひとり当たりの理学療法士が稼げる売上に限りがあるため、結果的に年収も上がらない仕組みになっています。
参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)
理学療法士のやりがい・苦労・向いている人の特徴とは?
肉体労働で疲労がたまりやすい理学療法士。一体どんなやりがいや苦労があるのでしょうか?ここからは、理学療法士の「やりがい」「苦労」「向いている人の特徴」についてご紹介します。
理学療法士のやりがい
理学療法士のやりがいは、患者さんの身体の問題を改善し、より良い生活を送れるようサポートできることです。
患者さんに身体の動かし方を変えてもらい問題が改善すると、表情が明るくなった患者さんの姿が見られます。そんな時、理学療法士はリハビリの効果を実感できて充実感を得られるものです。
例えば、脚の骨を骨折して老人ホームに入居した患者さんのケースを見てみましょう。家の段差を想定したリハビリ計画を進めた結果、7か月目には自宅に帰れるまでに回復。「お陰で帰れるようになりました」と感謝してもらえたことで、大きな喜びを感じたそうです。
理学療法士は患者さんの身体の問題を改善させ、患者さんの生活を豊かにできるやりがいのある仕事です。
理学療法士の苦労
理学療法士の苦労は、患者さんの身体の症状から「どんな不自由があるのか」をイメージするのが難しいことです。
特に自分が健康な身体だと、患者さんがどんなことに困っているかなかなか想像できません。どんなサポートをすればよいかわからず、適切なリハビリ計画が立てられないものです。
例えば、脳梗塞で麻痺が残った患者さんのリハビリを行うケース。生活のどんなシーンで不自由な思いをするか想像できず、新人のうちはリハビリ計画が的外れなものとなってしまいがちです。そのため、先輩のアドバイスを聞きながら勉強を進め、試行錯誤して必要なリハビリ計画を立てなければなりません。
理学療法士は、患者さんの不自由さが実感できないため、適切なリハビリ計画を立てるスキルを身に着けるにはたくさんの試行錯誤した経験が必要な仕事です。
理学療法士に向いている人の特徴
理学療法士に向いているのは、患者さんの生活に寄り添うのに抵抗のない人です。
患者さんはうまく身体を動かせなくなったことに大きなショックを受けているため、いきなりリハビリを始めようとしても受け入れてくれないことも多いもの。リハビリを始める前に、患者さんがどんな人で、どんな生活を送っているか、会話を重ねて信頼を得なければなりません。
例えば、「今まではできていた散歩ができなくなった」ことにショックを受けている患者さんと向き合うケース。まずは「お気に入りの散歩コースはあったか」「行ってみたいコースはあるか」などを聞いてみることで、徐々に心を開いてくれるよう働きかけます。
患者さんの話を聞くことで、リハビリに対して抵抗感を減らしていくうちに、少しずつリハビリにも取り組んでくれるようになるものです。患者さんの生活を改善するためには、患者さんとたくさん話して信頼を獲得し、患者さんの生活に密着することが求められます。
未経験から理学療法士を目指す方法
ここからは未経験から理学療法士を目指すために「必要な資格・役立つスキル」「自己PRポイント」「よく質問される内容」を解説します。ぜひ転職を検討中の方は参考にしてみてくださいね。
理学療法士に必要な資格・役立つスキル
必須資格 |
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理学療法士国家試験 |
■受験資格:理学療法士養成校で3年以上学ぶこと ■合格率:約80% |
あると役立つスキル |
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コミュニケーション力 |
相手の気持ちに配慮して、しっかりと伝えるべきことを伝える力 |
理学療法士になるためには、理学療法士国家試験に合格することが必須です。
受験資格は、理学療法士の養成学校で3年以上学ぶこと。合格率はここ5年程で約80%以上のため、しっかり学習すれば合格は難しくありません。
また、持っていると役立つスキルのひとつとして、コミュニケーション能力が挙げられます。理学療法士は、患者さんやご家族、医師や看護師など幅広い人とコミュニケーションをとって、患者さんのリハビリ成功を目指すことが大切。
患者さんの気持ちにしっかり配慮しつつ、言いにくいことも伝えるスキルが必要です。
参考:第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
理学療法士になるための自己PRポイント
未経験から理学療法士になるためには、自己PRでコミュニケーション能力を発揮した経験をアピールするのがおすすめです。
理学療法士は患者さんの生活に寄り添って会話を重ねたり、医師や看護師と常に患者さんの情報共有を行うことが求められるため、コミュニケーション能力が重要になります。
例えば、これまでの経歴で接客業の経験がある場合。職場のスタッフと連携し、チームで売り場作りに取り組んだ結果、売上がアップした経験をアピールしてみましょう。採用担当からはスタッフ間でしっかりコミュニケーションが取れる人材だと思ってもらえます。
理学療法士の自己PRでは、コミュニケーション能力を発揮したエピソードをアピールするのがおすすめです。
理学療法士の面接でよく質問される内容
理学療法士の面接では、どんな質問をされるのでしょうか。よくある質問をいくつか見てみましょう。
例①:入職したらどう活躍できますか?
採用担当は、「どう活躍できるか」を問うことで、あなたがどういう人材かを知りたいと考えています。自分の言葉で得意分野を説明し、職場で活かせるスキルをアピールしましょう。
例②:上司と意見が食い違ったらどうしますか?
理学療法士は職場で医師や看護師など、様々な職種のメンバーと連携をとらなければなりません。そんな中、上司や同僚と意見のぶつかり合いがあった時、うまく対応できるのか判断するための質問です。建設的な提案や話し合いを通じて、問題が解決できることをアピールしましょう。
例③:どうして転職を考えたのですか?
「そもそもどうして転職をしたいのか」も採用担当が確認したいポイントです。「前の職場に不満があった」という理由なら、同じ理由で辞められてしまうのではと心配になってしまうもの。退職理由については、できるだけポジティブな言い方で説明するようにしましょう。
まとめ
今回は、理学療法士の仕事内容から転職方法まで詳しく解説してきました。理学療法士は患者さんと会話を重ねる努力が必要なものの、リハビリを通じて患者さんの生活を豊かにできる充実感のある仕事です。
「患者さんの生活をリハビリを通じてサポートしたい」という気持ちがある方は、ぜひ理学療法士を目指してみてはいかがでしょうか。良い転職活動になることをお祈りしております!