どんな仕事をしているか周囲から理解されにくい保健師。鳴りやまない電話の対応で現場が混乱しているという声もあります。
しかし、「クレーム対応は多い?」「高齢者の対応は難しい?」など、保健師に関して疑問を感じていませんか?
そこで今回は、
- 保健師の仕事内容・働き方・給与は?
- 保健師の1日の流れ・やりがい・苦労とは?
- 未経験から保健師になる方法
についてご紹介します。
保健師に興味がある、転職したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
保健師の仕事内容・働き方・給料は?
そもそも保健師がどのような仕事で、どんな働き方をしているのかご存知ですか?はじめに、保健師の「仕事内容」「働き方」「給料」についてご紹介します。
保健師の仕事内容
保健師の仕事は、地域住民や企業に勤める社員の健康管理や保健指導を行うことです。
保健師の仕事を大きく分類すると、
- 行政保健師
- 産業保健師
- 学校保健師
の3つになります。
行政保健師は、公務員として保健所や行政機関に勤める仕事です。地域の高齢者や年齢の若い妊婦の家庭訪問を行うなど、地域でサポートの必要な住民のケアを実施します。
産業保健師は民間企業に勤めて従業員のメンタルケア、健康診断の分析、保健指導を行い、学校保健師は学校に通う生徒や教員の健康維持、管理が仕事です。
いずれの場合も、保健師は病気になる前の予防医療に携わります。
保健師の働き方!休日や残業は?
保健師は、看護師業務を兼任している場合と、そうでない場合とで、休日や残業も異なります。例えば公務員や学校勤務、企業勤務の保健師の場合、残業はそれほど多くありません。一方、看護師業務を兼任している場合は、残業や夜間の対応が発生することもあります。
保健師の仕事では、公共交通機関が少ない地域に家庭訪問する時、自転車で回らなければいけないなど体力が求められることも。一方、保健師の多くは日中の勤務が多く、有休も取りやすいというメリットがあります。
保健師は看護師を兼任する場合、夜勤などで生活リズムが整えにくいこともありますが、保健師として働く分には残業も少なくプライベートの時間を確保しやすい仕事です。
保健師の給料・年収は?
保健師の平均年収は481万円で、看護師の499万円と比較するとやや低い水準です。
保健師として年収を上げる方法は、
- 長く勤める
- 資格をとる
- 転職する
の3つが考えられます。
まず、行政に勤める場合、年功序列で年収がアップしていくことが多く、管理職になることで手当がつく可能性が高いです。また資格をとることで年収がアップするケースもあり、心理カウンセラーや産業カウンセラー、養護教諭の資格を持っていると優遇されることが多いもの。
さらに、大幅な年収アップを見込みたい場合は、転職するのがおすすめです。ただし、保健師は長く勤める人が多いので、条件の良い求人が出るタイミングを待つ必要があります。
参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)
保健師の1日の流れ・やりがい・苦労とは?
看護師を兼任する場合は特に残業の多くなる保健師。一体どのような1日を過ごしているのでしょうか?今回は保健師の1日の流れを解説しながら、「やりがい」「苦労」についてご紹介します。
保健師の1日の流れ
ある行政機関で働く保健師について、1日の流れを見てみましょう。
8:30 | 出勤、朝礼 |
9:00 | 電話、窓口対応 |
10:30 | 家庭訪問 |
12:00 | ランチ |
13:00 | 事務処理 |
14:00 | 電話、窓口対応 |
15:30 | 打合せ |
18:30 | 事務処理 |
20:00 | 退庁 |
朝に出勤してまずは朝礼に参加します。1日のスケジュールを確認して電話対応、窓口対応を開始。10時半には家庭訪問を実施し、地域の高齢者が施設に入るまでの心身の状態をチェックします。
お昼には職場に戻り、休憩後に事務処理を実施。14時には電話対応、窓口対応に戻り、予防接種や検診への問合せに回答します。15時半には地域の見守り対象者の生活状況について、関係者で打合せを実施。その日の家庭訪問の記録が作成できたら、翌日の準備をして退庁します。
保健師のやりがいは「地域の人が少しでも元気になってくれること」
保健師のやりがいは、健康に不安や心配を抱えている人のサポートをした結果、少しでも元気になってもらえることです。
保健師の仕事はなかなか成果が見えないと思われがちですが、実際に感謝の声を聞けた時には「やってよかった」と感じられるものです。
例えば、感染症が流行した影響で、病院のマタニティ教室が中止になってしまったケースについて見てみましょう。マタニティ教室とは、出産に向けての過ごし方や、赤ちゃんの入浴体験などができる、妊婦さん向けの教室のこと。
妊婦さんはマタニティ教室に通うことで、赤ちゃんの知識が学べるので、出産まで安心して過ごせます。保健師が妊婦さんの相談に乗っていると、ある時「マタニティ教室がなくなってしまって不安」との声があったため、保健師が1対1で個別のマタニティ教室を実施。
その結果、妊婦さんからは「安心できた」と言ってもらうことができ、困っている人をサポートする喜びを感じられます。保健師は、なかなか仕事の成果が見えにくい仕事ですが、実際に困っている人をサポートできたと実感を持てた時にはやりがいを感じられる仕事です。
保健師の苦労は「仕事の成果が見えにくいこと」
保健師の苦労は、仕事の成果が見えにくいこと。
そもそも保健師の仕事は「治療」ではなく「予防」です。したがって地域に関わる保健師なら「その地域で何も悪いことが発生していない状態」になれば成果が出ていると言えます。仕事の成果がはっきりと見えないため、モチベーションを維持しにくいものです。
例えば、産業保健師がメタボリックシンドロームの社員向けに改善指導を行っても、実際に痩せられる人はほとんどいません。数値として成果が出にくく、社員からも「形式的なもので、あまり意味がない」と思われてしまうケースも。
保健師の仕事は、保健師本人もサポートを受けている人も成果を実感しにくく、取り組む意義を見出すのが難しい点に苦労があります。
未経験から保健師になるための方法
ここからは未経験から保健師になるために「向いている人の特徴」「転職するための心構え」「転職テクニック」を解説します。ぜひ転職を検討中の方は参考にしてみてくださいね。
保健師に向いているのは「予防医療の重要性を実感できている」人!
保健師に向いているのは、予防医療の重要性を実感できている人です。
看護師が治療を行うのに対して、保健師が行うのは予防。予防はなかなか成果が見えにくいため、「病気にならないようにできることをしたい」「病気を予防したい」という強い気持ちがないと、意欲をもって取り組み続けるのは難しいものです。
例えば、健康診断の業務をマニュアル通りに実施するだけだとあまりやりがいを感じられません。一方で、患者さんが健康診断で異常を発見し、早期治療を行なったことで社会復帰できた例を知って志望した場合はどうでしょうか。
予防医療の重要性を実感できているので、成果が見えにくい仕事でもモチベーションを高く保って取り組めます。保健師に向いているのは、予防医療の重要性を実感できており、日々の定型業務もモチベーションを維持して続けられる人です。
保健師になるために必要な資格・スキル
保健師になるためには、
- 看護師免許
- 保健師免許
の2つの資格を持っている必要があります。いずれも試験は年1回実施されており、受験資格として専門学校や大学に通って所定のプログラムを受講することが必須。2つの資格を持って初めて保健師として働けます。
学校に通うのも、資格取得に向けて学習を進めるのも年単位での取り組みが必要なため、しっかりキャリアパスを考えて進めていくのが重要です。
保健師に転職するためのテクニック
保健師は人気のある仕事ですが、あまり求人が出回りません。理由としては、
- 採用人数が少ない
- 非公開求人として募集される
などが挙げられます。
まず、看護師と比べると、土日休みで日勤のみなど働きやすい環境の保健師は、安定して働けることから離職率が低く、なかなか求人が発生しません。
また、産業保健師は大企業で1名だけなど、そもそもの配置人数が少ないもの。企業は信頼できる人を採用したいと考えるため、転職エージェントには非公開求人として登録していることも多いです。
そのため、保健師への転職では、母校からの紹介や看護協会の転職サイトの利用、複数の転職エージェントの利用など、積極的に求人を探す努力が求められます。
まとめ
今回は保健師の仕事内容から転職方法まで詳しく解説してきました。保健師は成果の見えにくい予防医療がテーマですが、地域住民の健康維持など社会的に意義の大きな仕事です。
地域の人の健康を守りたい、予防医療に興味があるという方は、保健師にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。良い転職活動になることをお祈りしております!