患者さんのお世話を担当してご家族との関わりも多いイメージがある看護助手。看護の現場では少しの気の緩みも許されず大変という声もあります。
しかし、「特別な資格がないとだめ?」「准看護師とはどう違うの?」など、看護助手に関して疑問を感じていませんか?
そこで今回は、
- 看護助手の仕事内容・働き方・給与は?
- 看護助手の1日の流れ・やりがい・苦労とは?
- 未経験から看護助手になる方法
についてご紹介します。
看護助手に興味がある、転職したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
看護助手の仕事内容・働き方・給料は?
そもそも看護助手がどのような仕事で、どんな働き方をしているのかご存知ですか?はじめに、看護助手の「仕事内容」「働き方」「給料」についてご紹介します。
看護助手の仕事内容
看護助手の仕事は、患者さんのお世話や看護師のサポートです。
具体的には、
- 患者の世話:着替え、検査の付き添い、食事・排泄・入浴の補助、車いす移動の補助
- 看護師の補助:医療器具の準備・片づけ・洗浄・管理
- 環境整備・その他:病室や診察室の清掃、ゴミ回収、シーツ交換、カルテの整理
などを担当します。看護助手は患者さんにとっては長い時間顔を合わせる身近な存在。患者さんやご家族から悩みや不安を打ち明けられることもあり、身体的なお世話だけでなく精神的なサポートも行います。
患者さんから頼りにされることも多く、看護師の不足しがちな医療業界で、資格を持たずに看護職を担える充実感の大きな仕事です。
看護助手の働き方!休日や残業は?
看護助手は残業がそれほど多い仕事ではありません。残業が発生する場合の多くは、患者の容体の急変などが発生したとき。もしくは、病院によっては慢性的な人手不足で恒常的に残業が発生するケースもあります。
看護助手は24時間のシフト制のことが多く、夜勤があるため勤務時間が不規則です。生活リズムが整えにくく、体調管理が難しいというデメリットがあります。一方で、夜勤専任の場合、出勤日数が少なくなるのでプライベートの時間を確保しやすいというメリットも。
看護助手は勤務時間が不規則で体調管理が難しいものの、その分プライベートな時間を多く確保できる仕事です。
看護助手の給料・年収は?
看護助手の平均年収は312万円で、アルバイト、パートの場合は平均時給1,024円、派遣社員では1,296円です。他の医療関係の職種と比較して低めの水準ですが、高齢化が進んでいる影響で看護助手の需要が増えているため、看護助手の平均年収は年々増加傾向にあります。
看護助手が収入を増やすためには、「資格をとる」「役職につく」「夜勤を増やす」などの方法を取りましょう。
まず、看護助手は患者さんのお世話を担当することから看護関係だけでなく、介護関係の資格が有用です。「メディカルケアワーカー」「看護助手認定実務者試験」のほか、「介護福祉士」「社会福祉士」などの資格をとれば職場によっては昇給が見込めます。
また、看護助手にも役職があるため「介護主任」などを目指して役職手当をもらったり、夜勤を増やすことで夜勤手当を稼ぐのもありです。
参考:看護助手の仕事の平均年収は335万円/平均時給は1,024円!給料ナビで詳しく紹介|求人ボックス (xn--pckua2a7gp15o89zb.com)
看護助手の1日の流れ・やりがい・苦労とは?
夜勤も多く勤務時間が不規則になりがちな看護助手。一体どのような1日を過ごしているのでしょうか?今回は看護助手の1日の流れを解説しながら、「やりがい」「苦労」についてご紹介します。
看護助手の1日の流れ
ある看護助手について、1日の流れを見てみましょう。
8:30 | 出勤、申し送り、朝食の下膳、中央材料室への物品提出 |
9:00 | 環境整備、おむつ交換、清拭 |
11:00 | お茶配り |
12:00 | 配膳、食事介助、下膳、休憩 |
13:30 | おむつ交換 |
14:00 | リネン交換、入浴介助、物品補充、器材確認、清掃 |
16:00 | おむつ交換、中央材料室で物品の受取 |
17:00 | 夜勤者への引継ぎ、退勤 |
朝に出勤すると、夜勤スタッフから申し送りを受けます。看護師長から本日の流れや連絡事項の共有後、夜間に使用した器材を滅菌のため中央材料室へ運搬。患者さんのベッド回りの清掃を行い、患者さんの身体を拭いたりおむつ交換をしたりします。
11時には昼食用のお茶を配り始め、12時には昼食の配膳を開始。食事介助をしつつ、交代で昼食をとります。お昼休憩後、2回目のおむつ交換を実施して、14時にはリネン交換や入浴介助を開始。患者さんの部屋でおむつの補充をしたり、詰所の清掃を行います。
16時には日勤で最後のおむつ交換を行い、ベッド回りの状態をチェック。午前中に滅菌依頼した器材を中央材料室に受け取りにいき、夜勤者への引継ぎをしたら定時に退勤です。
看護助手のやりがいは「患者から感謝の声を聞けること」
看護助手のやりがいは、何気ない瞬間に患者さんから「ありがとう」の一言を聞けることです。
看護助手は患者さんの身の回りの介助を行うため、良くも悪くも患者さんの声を直接聞く機会が多く、感謝の声をもらえた時には大きな喜びを感じられます。
もちろん患者さんの中には、看護師でなく看護助手だとわかると、暴言を吐いたり下に見たりする人も。そんな患者さんが相手でも、毎日食事や入浴のサポートを続けていくうちに徐々に信頼関係を築けます。
そして患者さんやご家族から「ありがとう」「いつも助かっているよ」などと感謝の声をもらえた時には、日頃の疲れやつらさが癒されるもの。看護助手は、患者さんと信頼関係を築いて直接感謝の声を聞ける達成感のある仕事です。
看護助手の苦労は「医療関係の専門用語がわからないこと」
看護助手の苦労は、看護師の使う医療関係の専門用語がわからないことです。
看護助手は専門学校に行かずに未経験でも働けるので、最初は専門知識がほとんどない人も多いもの。そのため、看護師と一緒に患者さんの対応をする時、看護師の使う用語が理解できずなかなか仕事が進められないことがあります。
看護師からは「わからないことはいつでも聞いて」と言われるものの、医療現場はいつも忙しいため常にピリピリした空気感で質問しにくい環境です。
それでも、専門用語の意味を理解できないまま進めるとミスの原因になってしまい、時に患者の命にも関わる事態を引き起こしかねません。わからないことを聞きにくい雰囲気でもしっかり質問したり、自分で調べたりする努力が求められます。
看護助手は、看護師の使う専門用語を理解できるまでは、自分のペースで仕事を進められない苦労のある仕事です。
未経験から看護助手になるための方法
ここからは未経験から看護助手になるために「向いている人の特徴」「転職するための心構え」「転職テクニック」を解説します。ぜひ転職を検討中の方は参考にしてみてくださいね。
看護助手に向いているのは「臨機応変に対応できる」人!
看護助手に向いているのは、臨機応変に対応できる人です。
看護助手は決められた作業を予定通り行うだけでなく、ナースコールで急遽対応が必要なシーンも出てきます。そのため、臨機応変に対応するのが苦手だと日々ストレスが溜まってしまうものです。
例えば、看護師が忙しくて誰もナースコールに出られない時は、看護助手が対応しなければなりません。看護師や看護助手の使う詰所の清掃をしている途中だったとしても、ナースコールをする患者さんの対応は最優先で行う必要があります。
まずは患者さんから「体調がよくない」「おむつ交換をしてほしい」などの用件を聞いて、看護助手でも対応できる内容か確認して対応を実施。必要に応じて手の空いた看護師に対応をお願いしてから元の業務に戻ります。
看護助手は忙しい看護師のサポートを行うため、臨機応変に対応できる人が活躍できる仕事です。
看護助手になるために必要な資格・スキル
看護助手になるために資格は必要ありませんが、持っていると採用に有利になる資格はあります。
例えば、
- メディカルケアワーカー
- 看護助手認定実務者試験
- 介護職員初任者研修
などです。ひとつずつ具体的に見ていきましょう。
メディカルケアワーカー
メディカルケアワーカーは、看護助手実務能力に関する民間資格で、1級と2級があります。メディカルケアワーカー講座を終了すると受験可能で、看護助手の役割、電話対応、身体の働き、薬の知識を学習できます。
看護助手認定実務者試験
看護助手認定実務者試験は、看護助手の知識と技能を判断する民間資格です。在宅での受験も可能で、指定の講座で修了課題をクリアすることでも取得できます。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、基本的な介護の知識・技術を保証する資格で、全10科目・130時間の研修を受ければ受験できます。
看護助手は、食事の介助や入浴の介助など、介護職員と共通の業務も多いため、介護系資格の入門である介護職員初任者研修が有用です。取得難易度もそれほど高くないため、未経験でもチャレンジしやすくなっています。
看護助手に転職するためのテクニック
看護助手になる志望動機として「看護師を目指したいから」という理由は、応募先の病院によってはネガティブな評価になるため注意しましょう。
たしかに病院によっては「向上心があって前向きに仕事を覚えてくれそう」とポジティブな評価を得られることもあります。一方で、看護学校に通いながら看護助手の仕事をするのは体力的にも時間的にも厳しいため、「仕事に支障が出るかも」とネガティブに受け止められる可能性も高いです。
従って応募先の病院が「看護師を目指したい」という志望動機をどう受け止めるか判断するひとつの目安として、その病院が「看護学校奨学金制度」を設けているかを確認してみましょう。奨学金制度を設けている病院では、「看護師を目指す」という志望動機をポジティブに受け止めてもらえることが多いです。
もし奨学金制度の有無がわからない場合は、「看護師になりたい」以外の志望動機も準備しておき「未経験者の育成についてどう考えているか」を面接の中で確認し、何を志望動機として話すのが適切か判断するようにしましょう。
病院によって看護助手のステップアップをどう捉えるかが異なるため、「看護師になりたい」という志望動機は、面接やHPで病院の方針をよく確認してから説明するのがおすすめです。
まとめ
今回は看護助手の仕事内容から転職方法まで詳しく解説してきました。看護助手は、夜勤も多く勤務時間が不規則になる苦労がありますが、患者さんの身近な存在として心身を支えられるやりがいのある仕事です。
臨機応変に対応することが得意な人、未経験から看護業界を目指したい人は、看護助手を目指してみてはいかがでしょうか。良い転職活動になることをお祈りしております!