「保育士の仕事が辛い」「保育士に向いていないから辞めたい」とお悩みではありませんか?
保育士は子どもたちの成長を見守るとてもやりがいのある仕事ですが、先輩保育士や保護者との人間関係・仕事量の多さなど精神的にも肉体的にもハードな仕事です。
中には、理想と現実のギャップに疲れてしまい「夢だった保育士だけど辞めたい」と思っている方もいるでしょう。しかし、本当に辞めてしまって後悔しないのか、他にできることがわからないなどの気持ちがブレーキとなり、どうしていいかわからないと悩む方はたくさんいます。
そこで、保育士を辞めるべきか悩んでいる方に向けて『仕事を辞めるべきかの判断基準』や『辞めると決めたときに取る行動』について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
保育士が仕事を辞めたい理由トップ3
あなたはどのような理由で保育士を辞めたいと感じていますか?平成30年度東京都保育士実態調査結果によると実際に保育士を辞めた理由は、1位『職場の人間関係』2位『仕事量が多い』3位『給料が安い』という結果になりました。この結果を見て、「やっぱり!」と思う方は多いでしょう。なぜこのように感じてしまうのか、それぞれについて詳しくご紹介します。
約4割の人が辞めている!第1位『職場の人間関係』
『職場の人間関係』が38%で辞めた理由の1位になりました。人間関係でお悩みの方は、この記事を読んでいる方の中にもたくさんいるでしょう。
保育士は、女性の割合が多く9割が女性と言われています。女性が多い職場は、派閥など女性特有の人間関係のイザコザが多い傾向が。
また、保育士は複数でクラス運営をすることが多く、組む相手との相性が悪いと、クラスの雰囲気が悪くなったり、仕事自体もうまく進まないなど悩みが尽きません。
人間関係の悩みはストレスが多く、体調不良などの原因になるので「辞めたい」と感じるのも頷けます。
子ども達が帰っても仕事が盛り沢山!第2位『仕事量が多い』
2位に『仕事量が多い』が22.7%でランクイン。保育士の仕事は子ども達の保育がメインです。その他にも書類の作成や、保育計画書の準備、おもちゃの消毒など子ども達が帰ってからも膨大な量の仕事があります。
また、運動会や生活発表会など大きな行事があると準備などで残業になったり、仕事を家に持ち帰ることもあるでしょう。いくら好きな仕事でも、仕事量が多すぎて疲れ果ててしまい、辞めたいと感じている方も多いです。
こんなに仕事しているのに手取り17万!第3位『給料が安い』
2位と僅差の27.4%で3位が『給料が安い』となりました。この結果から、仕事量の多さと給料の安さは「仕事量に見合う給料をもらえない」という不満につながることがわかります。
厚生労働省の調査によると、保育士の平均月収は、約24.9万円。20代前半では平均月収21.4万円です。手取り額は月収の8割ほどなので、約17万円から19万円となります。
働く上で、収入はモチベーションの1つなので、仕事量に見合う収入でないと感じれば、仕事のやる気が上がらない要因になります。
保育士が仕事を辞めるべきかの判断基準
保育士の仕事を辞めたいと感じていても、「本当に辞めて、後悔しないのか」と悩んでいませんか?また親や先輩に相談しても「3年は続けるべき」や「どこに行っても同じだよ」などと言われ判断できない方もいるでしょう。
そこで『辞めても良いケース』と『辞めない方が良いケース』をご紹介。また、辞めるときにどのような選択肢があるのかについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
保育士が仕事を辞めても良い3つのケース
保育士が仕事を辞めても良い3つのケースはこちら。
- 不眠などのうつや吐き気などの体調不良の症状がある
- 理不尽ないじめやパワハラを受けている
- 違法な労働環境で働いている
それぞれについて見ていきましょう。
不眠などのうつや吐き気などの体調不良の症状がある
生活する上で、あなたの体より大事なものはありません。すでに不眠や吐き気など、うつや体調不良の症状が出ている場合は、休職や退職を検討し、体調を整えることを第一に考えましょう。
理不尽ないじめやパワハラを受けている
いじめやパワハラのターゲットになっている場合も、健康を損なう恐れがあります。また、そのような職場は良い職場とは言えません。辞めて新しい環境に身を置く方があなたにとって良いこともあります。
違法な労働環境で働いている
労働環境が明らかに悪い場合も、転職を検討して良いでしょう。例えば、仕事の持ち帰りが週一回以上あることが当たり前とされていたり、残業に対する手当が支給されない保育園は要注意。
時間外労働に割増賃金を支給しないことは労働基準法違反です。改善が見込めない場合、法律を遵守している保育園への転職を考えた方が良いでしょう。
保育士が仕事を辞めない方が良い2つのケース
以下の項目に当てはまる場合は、辞めることを考え直すことをオススメします。
- 職場の人間関係が悪くない
- できないことが多くて保育士に向いていないと感じている
それぞれ詳しく解説します。
職場の人間関係が悪くない
保育士に限らず、どのような仕事でも人間関係の問題はどこにでもある可能性があります。その中で、人間関係が悪くない職場で働けていることは、ある意味ラッキーかもしれません。
例えば、人間関係が良好だけど仕事が忙しくて辞めたいと感じている場合、無駄な作業をしていないかや、他の職員と協力して効率化できないかなど問題を改善できないか考えてみましょう。
できないことが多くて保育士に向いていないと感じている
キャリアが浅い保育士にありがちなのが、できないことが多くて辞めたいと感じるケースです。保育士の仕事は経験がものをいう職業です。
保護者の対応や保育計画などを難しいと感じている方はたくさんいるでしょう。しかし、これらは経験を積めば積むほど、様々なことに対応する力がついてきます。
すぐに「向いていない」と判断するのではなく、経験を糧に学んでいくという考え方に切り替えて、少しずつ保育士として成長しようという姿勢で仕事に取り組んでみましょう。
保育士を辞めて失敗する人の傾向と成功する人の傾向
転職を考えたときに、浮かぶ選択肢は『他の園に転職して保育士を続ける』と『保育士を辞めて他業種に転職する』の2つです。
厚生労働省の調査によると、転職した保育士のうち、保育業界への転職は53%。異業種が46%とほぼ半数の結果となっています。保育士の現状と主な取組 – 厚生労働省
異業種に転職した方に話を聞くと、保育士を辞めて後悔しているという声もよく聞きます。そこで、辞めてから後悔しないために、保育士を辞めて失敗する人と成功する人の傾向をご紹介します。
保育士を辞めて失敗する人の傾向 | ・突発的に辞めた・とにかく仕事から離れたかった・ほかの仕事なら何でもいいと思っていた・転職先を決める前に退職した |
保育士を辞めて成功する人の傾向 | ・第三者に相談したり、保育士を辞めたい理由明確にしてから決断した・不満を解消する転職先を調べた・転職活動をしてから退職した |
保育士を辞めて失敗するかどうかは『退職までの準備』にかかっています。保育士を辞めて後悔している人は、「辞めたい気持ち」ばかりが大きくなりすぎて、退職することが目標になっている場合があります。
そのため、じっくり考えず、勢いで保育士を辞めてしまい転職先がなかなか決まらなかったり、転職してもやりがいがないと感じて後悔しています。
一方、保育士を辞めてよかったと感じている人は、退職するにあたって、保育士の仕事を辞める理由を明確にしています。その理由を解決するには、辞める以外にないと判断できているので後悔がないようです。
あなたも、職場を変えたいのか、保育士を辞めたいのかじっくり考えてみましょう。
保育士が仕事を辞めると決めた時に取る行動
辞めるべきか検討した結果、辞めることを決断したならば、転職活動や、退職の準備に動き出さなければいけません。しかし、初めての転職の場合、どのように転職活動をすれば良いのかわからない方がほとんどだと思います。
そこで、『保育士を続ける場合の成功する転職活動3つのポイント』や『異業種に転職する時の2つの選択肢』『退職を決めてから転職までのモデルケース』について解説します。
保育士を続ける場合の成功する転職活動3つのポイント
保育士を続ける場合の転職のコツは以下の3点です。
- 今の不満を解消できる条件を明確にする
- 面接の時には必ず見学する
- 保育士専門転職エージェントを活用する
それぞれ詳しく解説します。
今の不満を解消できる条件を明確にする
今の職場の不満を解消できる条件を明確にしましょう。例えば、給料の安さが不満で転職をする場合、最低限の月給のラインはいくらか設定しておきましょう。
そうすれば、求人をチェックするときに、基本給だけでなく、家賃補助の有無や残業手当の有無などトータルでもらえる月収がいくらになるのか見て条件に合うか判断することができます。
不満を解消できる転職先でなければ、転職してもまた同じような不満を持つ可能性があり、転職を繰り返すハメに。今の職場の不満は2つ以上あることが多いので、不満を解消できるかどうかの目線で条件を決めると転職先を探しやすくなります。
面接の時には必ず見学する
面接の時は必ず園内を見学させてもらいましょう。いくら希望の条件に合致していても、人間関係や子ども達の雰囲気など求人票ではわからないことがたくさんあります。
特に、人間関係や職場の雰囲気は誰もが気になるところです。こういった雰囲気は目で見るのが1番。自分が働くことを想像しながら、見学することをオススメします。
見学している時に、違和感を感じたり、少しでも合わないかもと思ったときは他の職場も検討する方が良いでしょう。雰囲気などは肌で感じるものなので直感を信じてかまいません。
見学した上で、「私もここで働きたい」と思える職場を選びましょう。
保育士専門の転職エージェントを活用する
保育士専門の転職エージェントでは、保育業界に詳しいアドバイザーからあなたに合った求人の紹介や面接対策のアドバイスがもらえるので、転職活動をスムーズに進めることができます。
その他、求人票ではわからない職場の雰囲気や、労働環境などを聞くことができるメリットも。そして転職エージェントを選ぶときは、求人の多さや担当者との相性が重要になります。
転職エージェントによって強いエリアなどの特徴が違うので、いくつか登録してみると良いでしょう。
保育士を辞めて異業種に転職する時の2つの選択肢
異業種に転職する場合、『保育士を活かす業種に転職する』か『全くの異業種にチャレンジする』の2つの選択肢があります。まず、それぞれの選択肢についてどんな職種がおすすめかご紹介しましょう。
保育士を活かす業種に転職する場合
保育士の経験を活かせる業種は以下になります。
- 学童保育、児童館の支援員
- 幼児教室などのスクールの講師
- ベビーシッター
これらの業種は、子どもと関わる仕事という面で、保育士と共通しており、経験を活かすことができます。
また、保育士の資格を持っていることが採用の際に優遇されるので、保育士として保育園で働くことは考えられないけれど、子供と関わる仕事を続けたい方におすすめです。
全くの異業種にチャレンジする場合
保育士を離れ、全く別の業種にチャレンジしたいと考える方もいるでしょう。その場合におすすめな業種をいくつかご紹介します。
- 接客業、販売業
- 事務職
- 介護職
ホテルなどの接客業や、販売業は「人当たりの良さ」が重要視されるので、保育士からの転職でおすすめな業種の1つです。また、未経験者の採用も積極的なのでチャレンジしやすいメリットもあります。
事務職は、保育士の仕事でも書類の作成や掲示物の作成でパソコンを使うことも機会が多いので、パソコン操作に自信がある方におすすめです。
ただし、事務職は人気があるので競争率が高いことに注意しましょう。介護職は、「お世話をする」という面で、保育士と共通するので保育士から介護職に転職する方もたくさんいます。
人の役に立ちたいという気持ちが強い方におすすめ!介護の資格は、介護職員初任者研修であれば、3ヶ月ほどで取れるので、興味がある方は資格取得を考えてみると良いでしょう。
異業種にチャレンジしたいときは転職エージェントに相談しよう
保育士から異業種にチャレンジしたいときは、他の保育園に転職するよりもハードルが上がります。どのような仕事をしたいのか、自分の得意なことは何かなど、自己分析も必要!
自分では気がつかないことも多いので、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談することから始めることをおすすめします。
プロの目線からアドバイスをもらうことで、自分がどのような仕事をしていきたいのか、少しずつ明確にしていくことができるでしょう。
退職を決めてから転職までのモデルケース
保育園では、年単位で運営しているので、辞めたいと思ってもすぐには辞めにくい仕事です。また、同僚や子ども達のことを考えると、年度末の3月末に退職したいと考えている方がほとんどでしょう。
そこで、3月末で退職し、4月から新しい職場で働く場合のモデルケースをご紹介します。
3月末退職、4月入職に向けた転職活動の例 | |
8月から10月ごろ | 具体的に転職の検討を始める転職エージェントに登録する |
10月から11月ごろ | 求人へ応募面接や園見学 |
11月から1月初め | 内定の獲得今の職場へ退職を伝える |
2月から3月 | 退職の手続き引き継ぎ有給の消化と退職日の調整新しい職場の入職準備 |
年度末に退職するためには、最低でも3ヶ月前の12月までに退職の意思を職場に伝える必要があるといわれています。そこから逆算すると、8月ごろから転職活動を始めると余裕を持って転職活動ができます。
円満に退職するためには、同僚への配慮や、最後まで仕事をやり抜く姿勢を持つことがポイントです。
まとめ
当記事では、保育士を辞めたいと悩む方に向けて『仕事を辞めるべきかの判断基準』や『辞めると決めた時の行動』について解説しました。
たくさんの選択肢がある中、後悔しないためには、勢いで判断せずじっくりと考えて決断することが必要です。まずは、あなたの不満がどこにあるか明確にしましょう。
そこから転職することが解決策なのか考えることができます。この記事があなたのお悩みを解消するヒントになれば幸いです。