福祉の専門家として市民の生活を守るケースワーカー。ひとり親世帯や貧困などさまざまな悩みを持つ人の味方となり、社会に貢献できる仕事です。しかし、「ケースワーカーとソーシャルワーカーの違いは?」「社会人の転職は難しい?」など、ケースワーカーに関して疑問を感じていませんか?
そこで今回は、
- ケースワーカーの仕事内容・働き方・給与は?
- ケースワーカーのやりがい・苦労・向いている人の特徴とは?
- 未経験からケースワーカーを目指す方法
についてご紹介します。
ケースワーカーに興味がある、転職したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
ケースワーカーの仕事内容・働き方・給与は?
そもそもケースワーカーがどのような仕事で、どんな働き方をしているのかご存知ですか?はじめに、ケースワーカーの「仕事内容」「働き方」「給与」についてご紹介します。
ケースワーカーの仕事内容
ケースワーカーは病気や障がい、貧困などさまざまな理由から社会生活が困難な方の相談に乗り、支援する仕事です。ケースワーカーは一般的に地方公務員として、自治体が設置する福祉事務所などの公的機関に勤務する人を指します。
ケースワーカーの具体的な業務内容はこちらです。
- 生活保護の相談・支援
- 1人暮らしの高齢者の生活支援
- 高齢者や障がい者の介護における相談・支援
- 不登校児童の相談支援
同じような業務をするソーシャルワーカーと混同されますが、基本的にソーシャルワーカーは福祉の相談業務をする職業全般を指し、ソーシャルワーカーの中でも、公務員として相談業務につく人をケースワーカーと呼びます。
ケースワーカーの働き方!残業や休日は?
続いてケースワーカーの勤務形態・休日・残業など、働き方についてご紹介します。
勤務形態
地方公務員であるケースワーカーの勤務時間は、基本的に8:30から17:15まで。1週間当たりの勤務時間は38時間45分と定められています。
基本的に業務は平日の日中になるので、シフト制や夜勤になることはありません。
休日
休日は土・日・祝の完全週休二日制。その他年20日の年次有給休暇や産休・育休制度など公務員として充実した休暇制度が与えられています。
年度末などの繁忙期は、休日出勤になる可能性はゼロではありませんが、ほぼ休日出勤はないと考えて良いでしょう。充実した休日制度により、休日に関して不満を感じることはあまりありません。
残業
総務省の調査によると地方公務員の残業時間は月平均13.2時間。ケースワーカーは
相談者との面談や家庭訪問など、外出の機会も多いですが、時間外に対面業務をすることはありません。
しかし、難しいケースが重なったりする場合や、相談が増える年度末や年度初めなどは提出書類が多く、事務作業などで残業になることもあります。
ケースワーカーの給与・年収は?
ケースワーカーは地方公務員の「一般行政職」または「福祉職」として採用され、給与は公務員給与規定に沿って支給されます。
令和2年度地方公務員給与実態調査によると、一般行政職の平均月収は40.0万。福祉職では33.6万となっています。年収に換算すると約470万円から560万円ほどが平均です。地方公務員は勤続年数に応じて昇給するなど、安定して働けます。
ケースワーカーのやりがい・苦労・向いている人の特徴とは?
生活保護の業務が多いイメージがあるケースワーカー。一体どんなやりがいや苦労があるのでしょうか?ここからは、ケースワーカーの「やりがい」「苦労」「向いている人の特徴」についてご紹介します。
ケースワーカーのやりがい
ケースワーカーのやりがいは、病気や貧困などで困っている人を助けることができることです。
ケースワーカーに相談する方は、社会で弱い立場にあり、支援がないと生活が成り立たない人がほとんど。公的な支援やアドバイスをしながら、自立に向かって共に歩んでいくことに大きな達成感を感じられます。
例えば、「生活保護受給者の就職が決まり自立した」「介護が必要な高齢者が満足するサービスを受けて生きる希望を取り戻した」などは、自分のことのように喜べる瞬間です。
生活に悩みを抱える方に寄り添い、自立をサポートできることは、社会貢献度が高く、誰かの役に立つケースワーカーの存在意義を実感できます。
ケースワーカーの苦労
ケースワーカーの辛いことは、苦情の多さや暴言を吐かれるなどの精神的ストレスが大きいことです。
相談者のほとんどは精神や身体に何らかの問題を抱えています。中には、コミュニケーションをとることが難しく、些細なことで激昂したり心無い言葉をいう方もいます。
ケースワーカーの方に仕事でストレスを感じたことを聞くと「毎日苦情の電話をかけ続ける人がいる」「家を訪問したらゴミ屋敷だった」「支給額が減った受給者から暴行を受けた」など相談者の対応にストレスを感じる方が多いです。
困っている方を助けるというやりがいの反面、さまざまな相談者に対応する精神的ストレスで心を病む苦労があります。
ケースワーカーに向いている特徴
ケースワーカーに向いている特徴には以下の3つがあります。
- メンタルが強い
- 困っている人を助けたい奉仕の精神
- 事務作業が苦ではない
それぞれ詳しくみていきましょう。
メンタルが強い
ケースワーカーにはメンタルが強い方が向いています。ケースワーカーの苦労でも触れたように、精神的ストレスが大きく、メンタルが強くなければ続けられる仕事ではありません。
また、生活保護の業務ではルールに則り支給しなくてはいけないので、不満やクレームを受けることもよくあります。毅然とした態度で、できることはできる、できないことはできないとはっきり言える心の強さも必要です。
困っている人を助けたい奉仕の精神
ケースワーカーには「困っている人を助けたい」という気持ちが根底にないといけません。福祉の仕事は、自分の利益のためではなく、何らかの問題を抱える方のために働く仕事。したがって「人のためになることが嬉しい」「社会に貢献することに生きがいを感じる」方に向いています。
事務作業が苦ではない
意外な特徴として、ケースワーカーには事務作業が苦ではないことがあります。実は、ケースワーカーは相談業務よりも事務作業などのデスクワークの仕事が多いです。
例えば、相談・訪問記録や生活保護費の計算、支給に関する事務手続きなどたくさんの書類や事務作業があります。したがって、ケースワーカーは多くの事務作業をこなす事が得意、あるいは苦痛に感じない方に向いている仕事です。
未経験からケースワーカーを目指す方法
ここからは未経験からケースワーカーを目指すために「必要な資格」「自己PRポイント」「面接でよく質問される内容」を解説します。ぜひ転職を検討中の方は参考にしてみてくださいね。
ケースワーカーに必要な資格
ケースワーカーとして働くには「社会福祉主事」の任用資格を取得して地方公務員試験に合格しなければいけません。
以下のいずれかに該当すると「社会福祉主事」の任用資格を取得できます。
- 大学等で社会福祉に関する3科目以上を履修していること
- 中央福祉学院または日本社会事業大学の通信教育(1年)、養成機関(22科目1,500時間)、各地域で行われる講習会(19科目279時間)の課程を修了していること
- 社会福祉士や精神保健福祉士、厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格している場合
また、地方公務員試験は、新卒採用のイメージが強いですが、社会人を対象とした経験者採用試験も実施されています。採用枠や職種は自治体によってさまざまなので、ケースワーカーを目指す方は、希望する自治体の公務員試験情報を確認しましょう。
ケースワーカーになるための自己PRポイント
ケースワーカーになるための自己PRポイントは「社会福祉への関心の高さ」です。
ケースワーカーは公務員として働くため、任用資格を取得していたとしても必ずしもケースワーカーとして働くことができないこともあります。ケースワーカーの勤務を希望する場合は、履歴書などの志望動機で「社会福祉への関心の高さ」や「ケースワーカーとしてどのように働きたいか」をアピールしましょう。
ケースワーカーの面接でよく質問される内容
公務員試験では、事前に面接カードを記入し、その内容に沿って面接が行われます。面接カードには、内容に嘘や大袈裟に書くなどして、面接であらが出ないようにしましょう。
最後に、福祉職の面接カードの内容例をご紹介します
- 1分間で自己PR
- 福祉職を目指したきっかけ
- 民間に就職しない理由
- 福祉の仕事をする上で重要なこと
公務員の場合、民間と違い変わった質問がされることは少ないです。また面接カードに事前に記入できるためじっくりと考えて回答を用意する事ができます。嘘偽りなくケースワーカーとして働きたい熱意を伝えましょう。
まとめ
当記事では、ケースワーカーの「仕事内容」「やりがい」「未経験からなる方法」などについて解説しました。ケースワーカーは、困っている方を助け、自立を促すやりがいがある仕事です。
任用資格の取得や公務員試験の突破など、ケースワーカーになるまでには高いハードルがありますが、公務員として安定して働けるメリットがあります。興味がある方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。